会津漆器の特性
1塗り面が丈夫

- 水がしみにくい
- 熱いお湯にも強い
- 酸やアルカリにも強い
2塗る時に便利
- 乾燥時間を温度差により変えることができる(20~30℃湿度80%が最も乾く)ため、いろいろな塗りや加飾の技法が可能になる
- 他のものとよく混ざる
- 接着力も強い

3塗り面が美しい

ぬくもりと落ちつきのある光沢があり、漆の持つ保湿性からしっとりした感じに仕上がる。
会津漆器の原材料
木材 お椀、杯、茶托などを「丸物」といい、ブナ、トチ、カツラ、ケヤキ、クワなどが使われます。また、重箱、お盆、文庫などを「板物」といい、主にホウの木が使われます。これらの木材は、山から切りだされた後、製材され木地工場に運ばれてから、何ヶ月も自然乾燥されます。これは、削る時に割れたり、出来上がってから歪んだりしないように、十分水分を抜くためです。
漆 漆は、漆の木の幹に傷をつけて掻きとった樹液を精製したものです。漆は、1本の木から約200gしか取れない大変貴重な物です。昔、会津でも漆の木がたくさんありましたが、今では漆の木を育てる人も漆かきをする人も少なくなり、会津塗りに使う漆のほとんどが、中国から輸入されたものでまかなっています。会津若松市では、漆の木の植林を行い、質の良い国産漆を増やそうとしています。

会津漆器の技法
塗り

花塗りはなぬり
油を加え光沢を持たせた漆で上塗りをして仕上げる技法であり、ハケの跡やムラをのこさず塗り上げなくてはならないため、高度な技術を要します。

金虫喰塗りきんむしくいぬり
この会津塗り独特の模様は、黒漆を塗り、乾く前に大麦又は籾殻を全面に蒔き、乾燥後大麦を取り除くことによりつくられる。その後、銀粉を蒔き乾燥後炭で磨き完成。
漆絵

会津絵あいづえ
名前の通り会津塗り独特の漆絵の技法です。松竹梅と破魔矢を組み合わせた模様が特徴といえます。

錦絵にしきえ
明治40年頃の発明で、全体のイメージが錦織りを思わせるところから名付けられました。牡丹、鳳凰、松竹梅、鶴亀の模様が主に描かれています。
沈金

沈金ちんきん
会津塗りに見られる沈金は、多産地のものよりも溝を細く浅く彫るため絵柄が柔らかい感じに仕上がるのが特徴です。
蒔絵

朱磨きしゅみがき
明治37年頃に描きはじめられました。黒漆を塗り、乾燥後その上に透明な漆で絵を描き、その上に朱の粉を蒔き付け、乾燥後みがいて仕上げる技法です。

網絵あみえ
黒漆を塗り、乾燥後その上に朱漆で網目を描く場合と、朱の粉や金粉を蒔き付ける場合があります。会津の網絵は京都の網絵と比べ網目が細かいのが特徴です。

消粉蒔絵けしふんまきえ
消金粉という金箔に水飴などを混ぜて作られる最も細かい金粉を蒔き付ける技法です。現在も幅広く様々な漆器に活用されています。

平極蒔絵ひらごくまきえ
明治17年頃に始められた技法で、平極粉という地金をヤスリですりおろしたものの中でも最も細かい金粉を蒔き付ける技法です。

丸粉蒔絵まるふんまきえ
明治時代に本格的に行われるようになった技術で、丸粉という金や銀の地金をヤスリでおろし丸みをつけた金銀粉を蒔き付け、乾燥後、炭で磨いて仕上げる技法です。丸粉の大きさは13種類。

鉄錆蒔絵てつさびまきえ
錆を用いて描いた一種の錆絵で鉄の鋳物のような感じのする技法です。現在では殆ど影をひそめてしまいましたが明示の中頃から大正の初めまでは盛んにおこなわれました。
会津漆器のこれから

新しい製品の開発
会津漆器は、今も昔も、お椀や重箱、お盆、お皿などの食器が中心です。しかし、人々の生活様式が多様化、洋風化されるにつれて、色や形、製品の種類も新しい物が開発されつつあります。
例えば、洋食器やアクセサリー類、他にも、すふすまの引手、コンセントプレート、スイッチパネルなどの建築材料等の新製品の開発が行われています。会津漆器は消費者が本当に使いたいと思う「モノづくり」に挑戦しています。
技術後継者の養成
伝統産業である会津漆器を今後も振興させ、伝統技術を未来に伝えていくためには、会津漆器を作る技術後継者を育てていくことが必要です。会津若松市には、会津漆器の職人を目指している方々が、伝統技術を身に付けるため、週3回勉強しています。研修中の中には、会津漆器の職人になるため、わざわざ他の都道府県から会津若松市に移り住んで養成所に通っている方もいます。